前にAルンゼを滑ったのは2017年。もう8年前だ。
当時は自分に自信をつけたくて、スリルを味わいたくてビックマウンテンの急斜面に挑んでいた。
時が経ち、少し落ち着いたオッサンになったかもしれないけど、54歳になった今でも基本的に変わっていない。
ビック斜面を滑り降りる快感に憑りつかれた中毒患者のままだ。
滑走する時は、斜面を高速かつノンストップで滑り切ることに拘っている。
そして、滑走動画はなるべくノーカットで編集せず証拠として残すようにしている。
その後、何度か訪れた事があるけど、条件が合わず急斜面にビビッて断念していた経緯があった。
今回の天気予報を見て、今日はここしかないとAルンゼ滑走を決意。
あの頃より歳をとってしまったけれども、今シーズンは体力的に充実している。
経験を重ねて、あらゆることを想定しながら滑れるようになった今なら、いい結果を出せそうだ。
日の出前に入山。冬尾根を登る。
半面山まで休まず快適にハイクアップ。
雲峰山もいつもならカチカチな部分も、雪があって過去一快適に登れました。
Aルンゼまでアイゼン無し、シールで快適に登れる良コンディション。
とは言え、ここまで登ってきた冬尾根とは別世界の急峻な景色に、チョット緊張してきた。
矢印の辺りからからエントリーよ。
ここまで来たのだから、覚悟はできている。
ドロップするまでの1分間、雪の状態や滑走ライン、雪崩れた時の回避など、あらゆることをイメージして精神を統一する。
そしてドロップ。
標高差約440mの急斜面を一気に滑り降りる。
本谷と合流して開けた時の解放感は言葉に出来ないくらい素晴らしい気分だった。
雄たけびも上げず、唯々ジワジワと沸き起こってくる充実感を噛みしめていました。
緊張が解けてから、ユーフレ谷のメロー斜面をクルージング。
これも、三月とは違って光が当たらない谷底には上質な雪が溜まっていて最高でした。
さてここから先が核心部。
ゴルジュが埋まっていなかったら、登り返して戻る覚悟で先へ進んでみる。
所々、穴が開いていて、とても深い。
落ちたら助からないよなぁ、と思いながら、絶対落ちないように慎重に。。
かなり際どいトラバースを繰り返してなんとか突破。
ユーフレ小屋前でようやく休憩。
しばらくボーっと時間を過ごす。
ここから下部も、危険個所が多く、ソロで来て正解だったかも。
二人目が通ったら崩れるような場所ばかり。
途中、7mくらいある崖上の岩場に雪が少し乗っかっているだけのトラバース箇所も多数。
多分落ちたら死ぬね、くらいの場所もありました。
繋がっていない渡渉ポイントは数知れず。
下から登ってきて、突破できずに引き返したトレース跡も対岸にあったりしました。
林道に復帰して、生きてて良かった、と安堵する。
今回、色々な条件が整って満足できる滑走が出来ました。
ユーフレ谷ですべての記憶が吹き飛んで、もう二度とくるか!
ってなりそうだったけど、今日の山行は素晴らしかった。