2026年2月8日日曜日

2026.2.8ニペソツ山 パパスライフ(Papa's Life)に想う

 ニペソツ山は私がエクストリームスキーの真似事を始めてから、北海道にある急峻な斜面をいろいろと探しているうちにこの山が気になりだして、ネット上の記録や友人の記録をいろいろと調べて、いつか私も滑ってみようと考えていた。


思い起こすと、私がニペソツ山に魅せられたのは、トマホーク氏の記録を目にしてから特にその想いが強くなったのだと思う。誰でも手軽に登って滑れる斜面ではなく独創的なエクストリームラインを刻み、また文字と写真だけの記録ではなくYouTubeに動画で記録が残されていた。
動画だと、写真の一部を切り取って良く見せたり、凄いところを滑ってみましたとか言ってテキストで盛って記す事は出来ない。(基本的に)フィクションではなくノンフィクションである事が重要なのだ。
上手く滑走出来なくても、動画で記録を残すことで、自分の滑走技術やスタイルを表現出来ることから、自分も記録はトップtoボトムの滑走動画を公開することに拘っている。

それからというもの、何度もこの山に挑み、滑走してきた。パウダーのデルタルンゼを滑走したものの、ピークを踏むことは出来ず、満足はしていなかった。
もちろん、自分のスキルが足りなかっただけであって、山に精通した技術がある方なら、厳冬期でも普通にピークハントを出来る山であり、滑走技術がある方からすれば、これぐらいの斜面で何故滑れないのかと思うかもしれない。
ただ、自分の中では一番難易度が高くて、簡単には滑らせてもらえない気難しくて気高い特別な山なのだ。
それだけに、失敗するたびにニペに対する想いが強くなっていったのです。

今までは、比較的機構が安定した3月に訪れていたが、その際にはピークの直下の100mが核心部で、カチンコチンに鏡面仕上げされたアイスにビビッてしまい敗退。
また違うときは南尾根からアタックするも、これもカチンコチンのナイフリッジと横風にビビり敗退。
単にクライミング系の技術が無いだけなのですけど。
そして今回、2月上旬なら、まだ暖気も入っていないし、長期に渡りウインドパックされピカピカに仕上げられる前で、ピーク付近のアイスの状態も少しは柔らかいかもしれないと思い、挑戦してみたのです。
(1月だと早すぎて、まだ雪が少ないため崖が埋まっていない確率が高い)
とにかく、一度厳冬期のピークを踏んで、滑りたい斜面を上から覗いて色々選択肢がある中で滑走してみたかった。

今回、ようやくその思いが叶った山行となった。
いつものように、AM0:00幌加ダムを出発。
出発時、気温はマイナス17℃だったが、林道を進むにつれマイナス22℃まで下がっていた。
このまま夜が明けるまで極寒の中をフル耐寒装備で進む。
林道の峠を越えたところで、ブーツのつま先が凍傷の兆しを感じたので、今回持参した「靴下用の甲に貼るカイロ」をスキーソックスに張り付ける。
温度設定が丁度よくほんのり温かい。これが無かったら、間違いなく凍傷になっていました。

ニペには色々と冬期のルートがあるが、今回は初心に戻り、林道と林業用作業道を繋ぎながら幌加川を詰めてデルタルンゼからピークを目指す。
真っ暗闇のなか平坦な森の中を歩くには、作業道を辿るほうがルートファインディングに時間を取られず、ペースを維持出来るので疲労が少ない。
いつもなら、四俣の渡渉から夜が明け周囲が明るくなって来ていたのだが、まだ2月上旬なので周囲は真っ暗闇。
四俣の半島部で、いつもの作業道を見つけるのに手間取り、少々時間のロスをしてしまった。
植林が進み、作業道の上に若い樹々が育ってきているのも原因だ。

幌加川源頭部に来ると、疎林になってくる。

マイナス22℃のナイトハイクは放射冷却も加わり、体を芯から冷やしていく。
ダラダラとした緩い登りは、心拍数が上がらず、どんどん体が冷えて眠気が襲ってくる。
寒くて眠くて、歩きながら何度か途中で寝落ちしそうになった。
この時は、久々に少しヤバいかな、と感じた。
デルタに取りついて、登り基調になると心拍数も上がり、体も温まってきて眠気からは解放された。

幌加川源頭を過ぎると、夜明け前の薄明かりで青白く聳え立つニペソツ山東壁が目の前に迫ってきた。
何度見てもこの山の威圧感は圧倒的すぎる。

風はなく静寂。今日はこの山に受け入れてもらえるのだろうか。
6時過ぎ。まだ夜は明けない。6時40分デルタの取りつきまで来たところでご来光。

山頂から徐々に、東壁が朝陽でピンクに染まっていく。
とても幻想的だ。

斜面を観察すると、デブリ痕は少なくデルタは綺麗だ。
その先の、ルンゼも荒れた感じはしない。
近接正面マジックのせいか、いつもより斜面は緩やかに見える。
今日は、想いを叶えることが出来そうな気がしてきた。
デルタルンゼの取りつきから見上げると、このルンゼも緩やかで短く感じた。

しかし、前日は爆風に吹かれており、雪面はウインドパックされている。
一見、綺麗に見えるが、雪面はハード系だ。
ここを滑るつもりは無いので、ジグを切って登る。
ルンゼを半分くらいまでシールで登りエッジが噛まなくなってきたところでツボ足に換装。
やっぱり急だなぁと思って見下ろすと、いつも通りの高度感。
そのまま稜線まで這い上がりアイゼンを装着。
ピークを見上げると、シュカブラが成長しているけど、直近に降った雪が張り付いて白い。
前回来たときは、ポールが刺さらないくらい硬くて、ピッケルが必要だった(その時はピッケルを持っていなくてこの時を機に購入)が、今回はポールも刺さるし大丈夫。
念願の厳冬期ピークを目指して、ステップを刻む。

ピークは無風、そして快晴。

何度もトライして、何度も断念した。
55歳の誕生日を目前にして、ようやく厳冬期の山頂に立つことが出来た。感無量。
この時期でも条件が良ければ、ピッケル無しで登れることがわかった。
前日の風で、斜面がウインドパックされていなければ、この上なく良いコンディション。
まず、目的のルンゼをのぞき込む。
やはり、下から眺めるのと、上から覗きこむのとでは全然印象が違う。
そして斜面がハードパックなので、この斜度では怖くて滑れない。
贅沢なんて言っていられないけど、もう少し雪が柔らかい時でないと私には無理だ。
何度も色々な角度から観察して思考を巡らせるが、滑落のイメージしか湧いてこない
やっぱり、今日はムリだ。
Bプランに変更しよう。
ドロップポイントは同じで、トマホークさんが滑走したパパスライフから分かれて、途中から左にデルタへ滑り込む感じで入るルンゼがある。
こちらはどうか。

山頂から細尾根を歩きドロップポイントへ移動したが、そこまで移動する時のリッジがカチコチで硬かった。
途中、裏側に滑落したら終わりかな、と思うくらいの怖い箇所もあった。
滑走準備をしてドロップポイントからのぞき込むと、上部は緩やかで滑れそうな斜度だった。
ここは初見なので、一気に滑らず、様子を見ながら滑り降りることにした。
まず、分岐のスパインまで滑り降り、ルンゼをのぞき込んで観察。
ノールの先は、たしか崖っぽくなっていたはず。
登っている途中で明るくなった時には、既にこの斜面が視野の陰に隠れていて崖を観察することが出来ていなかった。
途中まで滑り降りたとして、雪が繋がっていなくて、崖の手前で進退窮まり登り返すのもちょっとねぇ。

少し考えた上で、Cプランのパパスライフへ変更。
こちらは崖さえ繋がっていれば、何とかなる。
繋がっていなくても脇から巻くか、崖は高さが短いので飛び越えれば良いと考えていた。
途中まで滑り降り、脇から巻けるポイントで一度停止。
エスケープルートの観察をしてから、崖に向かう。
シュートが近づくと、どんどん落ち込んでいって吸い込まれそうな感じだ。
初見につき、ここも慎重にいく。
シュート部は雪が繋がっている。良かった。

ターンをする幅は無いので、ここはチョッカる。そのまま、ボトムへ向かって滑り込むイメージだ。
崖から下部は雪が柔らかくて、気持ち良いスピードでかっ飛ばす。実に爽快。
AプランにしてもBプランにしても、今日は失敗したらケガでは済まない、いや失敗する確率の方が高かった。
Cプランのパパスライフを選択したのには、今の自分に照らし合わせて考えてみると、色々な意味で合致していることがあり、今回はトマホークさんとの縁も感じた一本となりました。

何年もかけて攻略してきた、ニペは私にとって特別な山。
自分の自惚れと未熟さを自覚させてくれた唯一無二の山だ。
レジャーとは違った危険と隣り合わせの山行、自分の体力と滑走技術の限界を試す山行だ。
「滑れるところは登れる、登れるところは滑れる。」これが、簡単に通じない山。
ようやく、ピークに立つことが出来た。ひと区切りがついた感じでホッとしています。
ヘトヘトになるまで歩いて12時40分下山。達成感と脱力感で頭の中が真っ白だ。

もう暫く来ることは無いかなと、最初は思っていましたが、気持ちが落ち着いた今は、次回はトップtoボトムを、しかもノンストップで綺麗なラインを描いて滑走したい、という願望が湧いてきている。
あらためて考えると、自分の脳ミソは単純なのだ。

2026年2月1日日曜日

2026.2.1 標高差450mの上質なロング斜面でパウダーライド

 さて本日も天候思わしくなく、曇り&雪予報。
オッサン4人で、選択肢があるエリアで遊ぶ事に。


天候は悪いなりにも、クラウドベースはやや高め。
遊ぼうと思っていた疎林もベースから眺めることが出来た。

先行者がいたので、ありがたくトレース泥棒をさせていただきました。
駐車していた車両から知り合いかなぁと思って追いかける。

途中で追いつくと@s_andyさんと@masakinoriさん達でした。
ラッセルのお礼を言い、さらに「ラッセルを交代しますよ。」とアラマンが言う。
すると、そのまま直ぐ私に向かってラッセルを変われと。
ナニ??
おまえは、部下の成果を横取りする、会社でよく見る悪い上司のようだなホント。

ドロップポイントに到着、皆でワイワイ談笑。

1本目は、各々ノートラックのメロー斜面へドロップ。
雪の状態はとても良い。いや深すぎるくらいだ。
とりあえず、登り返して次の斜面へ。
登り返しは、本州から来たトモンタさんにラッセルを楽しんでもらう。

もう一度、ドロップポイントへ戻ると、ポカンと穴が開いたかのように晴れスポットが現れてきた。
先ほどからの雪雲がやってくるサイクルからして、もって数分だろう。
このタイミングを逃さずドロップ。
標高差450m、最高のロングライドでした。
気持ち良くて、滑走後には思わず歓喜の声が出ちゃいましたよ。

滑走後登り返しの準備をしていると、また天候が雪へと変わってきた。
ホント良い時に滑りました。

そして、もう一度登り返し。
アラマンに先頭ラッセルをさせると、最短距離で行こうとするから、シュートみたいなところを登っていくんですよね。
これには、トモンタさんが苦戦。
キックターンが上手くいかず、板の先が刺さって固まったまま動かず、操り人形のようですよ。

お帰りの斜面でも、気持ち良くテレターンが出来て嬉しかった。
BCでこんなに気持ち良く、テレで滑走出来たのは初めてかも。

今日はタイミング良く、極上の晴れパウダーを滑れて、最高の一日になりました。

2026年1月31日土曜日

2026.1.31 ドパウな里山

 大雪の予報が出ていたが、朝起きて外を見ると、雪はサラッとしか積もっていなかった。
ところが、出発の準備をしているうちに、ゴン降りに。
1時間足らずで10cmくらい積もってしまった。
このまま午前中は、雪予報。

今日は、ドパウの里山でバフバフよ。


イマムーさんと先ずは入山。
里山に着くと、雪は降り続いていて、風下の斜面には雪溜まっている。
しかし、まだ降り始めだったので、上部はやや底突き感があった。
下部は、既にバフバフに雪が積もっていた。
先ずは、あさイチいつもの壁に一番乗り。
ヒャッホー言いながら滑走。

登り返して、隣の斜面へ。
滑るたびに、積雪が増えてバフバフになっていく。
三本目の斜面を滑る頃には溺れるくらいのドパウに。
ここから尾根を登り返して、もう一本最初の壁を滑走。
先ほどよりもバフバフになっていて気持ち良い。

もうお腹がいっぱいになってきたところで、遅れてきた万蔵さんから入電。
ようやく現地に着いたので、合流出来そうだと。
それならと、もう一回登り返して、稜線を移動。
急登ズリズリのトレースに苦しむイマムーさん。

さて、万蔵さん合流しようにも、携帯の電波が悪く、合流しようにも連絡が取れない。
仕方ないので、せっかく稜線に登ったので、まだ滑られていないノートラの斜面を滑走。
ここもバフバフの急斜面で最高。
スラフと追いかけっこしながら気持ち良く滑走していると、視界の隅に万蔵さんを発見。
これから滑ろうと思ってた斜面を、ワタシたちに目の前でギタギタにされたとお怒りの様子。

トモンタさんも合流して一年ぶりの再会。
合流してからもう一回登り返して、消化試合的に6本目を滑走。
さすがに、お腹いっぱいですよ。
仲間とも合流できたし、ようやく楽しい週末が始まりましたね。

2026年1月30日金曜日

2026.1.25スパイシー小天狗

 帳尻合わせをするように、やはり近郊にもドカ雪がやってきた。
自宅前の除雪を済ませ、近郊の山へ出発。
視界は悪く、雪は積もりすぎなのですよ。
膝上ラッセルをしながら、いつもならお手軽山なのに何で??
ってくらいキツいラッセルを強いられる。

下りもズブズブ。全然進まない。
不完全燃焼で下山。
いったん解散するも、定山渓ダム方面は比較天気が良いみたい。
万蔵さんから再び招集がかかり、小天狗岳を目指す。

案内された沢は、小粒ながら天狗様というだけあって異様な雰囲気。
入口からして威圧感が強い。

天狗を舐めちゃいかんですね。
大きかろうが小さかろうが天狗は天狗なのだ。
スパイシーな急斜面で藪漕ぎラッセル。
どMな人しか来てはなりませぬ。
高度が上がっても、平面距離では全然進んでいない。

沢を詰めていくと、
これ以上は近づくんじゃねぇ、とオラオラ威圧してくる崖が出現。
もう止めときましょうよ。
今日は、ここからドロップしましょうね。
天狗様を怒りに触れたらまずいでしょ。

急斜面とはいえ、雪がフカフカだったので沢の中は穏やかな気持ちで滑走できました。
しかし、テレ原理教の教祖さま、何だか最近は急斜面ばかり行っている気がするけど、気のせいでしょうか?
このところ全然テレターンなんかしてないんですけど。 。
カラダはテレなのに、心はアルペンな不思議な心境に悩みが絶えぬ。