2023年2月12日日曜日

2023.2.12 スキー滑走中にクラックへ落下 直後にスラフが流れ込み埋没

滑走中に友人がクラックに落下、その直後上部から流れてきたスラフがクラックに流れ込み全身埋没。
無我夢中で友人を掘り出して救出。

救出者目線で、知識も技術も素人見解ですが、当日の状況をお伝えして、雪山を滑る人の参考になればと思い当日の事を書き留めておきます。

ここは、何度もリピートで訪れている標高も600mに満たない低山。
前日から20cm以上降雪があり雪は柔らかい。
この日は、曇りまたは雪の予報。平地では霙または雨になりそうな、この時期としては暖かい気温。
現地は、-2℃~0度前後。
ここは豪雪地帯なので、積雪量が半端ない。
低山でもクラックが出来やすい地域であった。
登っている時は、最初に滑走する斜面は尾根の陰で見えていなかった。

いつもの仲間2名と、私の長男を連れての大人4名で入山。
曇っていて上部はガスっているので、視界のあるところからドロップ。
長男は、ここの山を滑るのは初見なので、最初は様子見でお互い見える範囲で付いてくるように指示。
少しずつの時間差で滑り出し、ワタシが先頭で滑走。
埋没者が私の右後方から交差するように追随。長男は少し遅れて、私の後方追随。
もう一名は埋没者の後方ライン。
沢地形に入り少し下ると、クラックを発見。
単独、もしくは埋没した彼との二名だったら、そのままクラックを飛び越えて回避出来る大きさだった。


↑2022年3月5日 羊蹄山比羅夫コースで滑走中にグライドクラックが現れ、飛び越えて回避したこともあったので、対処は可能であった。


しかし、今回は長男を連れてきており、もう一名もケガから復帰したばかりだったので、この大きさのクラックを咄嗟に飛び越えられないかもしれない。
もしも、クラックに落ちたら大怪我になる可能性の方が高い。
咄嗟に止まり、大声で「ストップ!ストップ!」と制止するように叫んだ。

ワタシの後方を滑っていた彼は、止まり切れずグライドクラックに落下。
もう二名はワタシに気付き停止。
直後に上方から滑走時に発生したスラフがクラックに流れ込み、彼を埋めてしまった。
目視出来る範囲にいた事と、スキー板が片方見えていたので、急いで彼を掘り出し救出した。

長男も小さな頃から行動を共にしていたので、二次災害が起こらぬ様、安全な場所に待機していてくれた。

雪に埋まっている本人は相当息が苦しいはず。
とにかく呼吸路の確保。
息が出来るように急いで掘り出しました。
板を外し脚を解放、雪を掘り出し体が動けるようにして脱出。
スキー板は埋まっている間、雪の重みで通常よりも反り返っていた。
スラフでも雪の重みは凄まじいと感じた。

その時、自分の行動が合っていたかは分かりません。
今回のインシデントに至った悪い要素もありましたが、視界で見える範囲で埋没していた事で、即時に埋没地点を特定して迅速に救出が出来たのだと思います。
もし、単独で滑走していたら、発見、救出までの時間を要して最悪の事態もあったかもしれないし、インシデントも発生せずに回避できていたかもしれない。
もしかしたら、代わりに後続がクラックに落下して怪我をしていたかもしれない。
後から考えたらキリがないほど、多くの状況が考えられた。

雪山遊びは危険が伴う事を理解して、緊急事態に遭遇したら、その場で最善と思える判断と行動をとるしかない。

大切な友人が助かり、今はホッとしています。
彼は、私よりも知識も技術も段違いに素晴らしく尊敬できるスキーヤー。
ワタシも彼も雪山遊びが大好きで、これからも続けたいと思っています。

一つの事例として、雪山遊びをする人たちの参考になればと、動画を公開したことを理解していただきたいと思っております。

4 件のコメント:

  1. Youtube を見てこちらのブログにたどり着きました。
    バックカントリーの怖さを改めて知ることが出来ました。
    ありがとうございます。

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    1. こちらこそ、コメントありがとうございます。
      行き慣れた低山でも今回の様な事が起きることがあるので、参考になれば幸いです。

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  2. たまたま動画を拝見しました。
    うまく表現できませんが、震えました。
    ある種の感動を覚えました。
    たくさんの人に見てもらいたいです。

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    1. ありがとうございます。雪山遊びをする人たちが、滑走前に心構えをする、一つの参考になればよいと思っています。

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